現在、請求書や領収書を電子保存するには、規程やマニュアルの作成、所轄の税務署への申請が必要で始めるにはハードルがあります。
運用面でも、スキャンした人とチェックする人が必要であったり、小規模企業者の特例を適用する場合は書類への署名が必要など、体制や手間がかかります。
2022年1月に、請求書、領収書などの電子保存を行うための電子帳簿保存法が改正され、現在の要件が大幅に緩和。
要件の大幅な緩和により、請求書や領収書の電子保存を始めるハードルがぐんと下がります。
こんにちは、ぴたデジの俣江です。
2022年1月に改正される電子帳簿保存法にフォーカスし、請求書や領収書などの電子保存の始め方と、注意すべきことについてご紹介します。
目次
電子保存を始めるために必要なもの
電子帳簿保存法に対応して、請求書や領収書などを電子保存する場合に必要になるのは以下のものです。
電子化する電子機器(スキャナ、複合機、スマートフォンなど)
電子帳簿保存法に対応したスキャナの要件は以下のようになっています。
最近のスキャナ、複合機、スマートフォンであれば要件を満たしているものが多いので入手は容易です。
- 一定水準以上の解像度(200dpi以上)に読み取り
- カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色))
電子取引の保存要件を満たしたシステム
電子帳簿保存法に対応して請求書や領収書を保存するには、利用するシステムが2つの要件を満たす必要があります。
会社で利用しているクラウドストレージやファイルサーバーの場合、要件を満たさないケースが多く、注意が必要です。
真実性の要件
以下の措置のいずれかを行うこと
1.タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
2.取引情報の授受後、速やかに(または業務の処理にかかる通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付するとともに、保存を行うものまたは監督者に関する情報を確認できるようにしておく。
3.記録事項の訂正・削除を行なった場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う
4.正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規程に沿った運用を行う
国税庁(https://www.nta.go.jp)
真実性の要件を満たすための具体例は以下の通りです。
- 電子化した請求書や領収書にタイムスタンプが付加できるシステムを利用
- タイムスタンプが付加されたファイルを、改変できないシステムを利用
- 電子化してから最長約2ヶ月と概ね7営業日以内にタイムスタンプを付ける
可視性の要件
1.保存場所に、電子計算機(パソコンなど)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
2.電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
3.検索機能を確保すること
※帳簿の検索要件1〜3に相当する要件(ダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、2、3不要)保存義務者が小規模事業者でダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合は、検索機能不要
検索要件
1.取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること
2.日付又は金額の範囲指定により検索できること
3.二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
国税庁(https://www.nta.go.jp)
可視性の要件を満たすには、電子化した請求書や領収書を会計システムの伝票に紐付けておき、必要な時にすぐ取り出せるようにしておく必要があります。
ワンポイント
2022年1月の改正後は、所轄の税務署への申請は不要になります。
電子保存を始めるために必要なものが揃い、運用できるようになったらすぐに始められます。
すでに所轄の税務署に申請している場合、2021年12月までに申請する場合は、申請時に提出した規程やマニュアルに沿った運用を行わなければなりません。
2022年1月以降、緩和された要件で電子保存を行う場合は、承認の取りやめの届出書の提出など、承認を取りやめる一定の手続きが必要です。
電子保存の業務
電子帳簿保存法に対応して請求書や領収書を電子保存するには、どのような業務フローが必要なのでしょうか?
2022年1月の改正で、請求書や領収書へのサイン、タイムスタンプを付与する期間、第3者による原本との突合などが緩和されますので、以下のようなシンプルな業務となります。
紙で請求書や領収書を管理する場合、原本を社員から経理に受け渡す、きれいにファイリングするなどの手間が必要ですが、電子化して保存するとこれらの手間がなくなり業務効率化に繋がります。
電子保存への対応が必要な企業
現在は、請求書や領収書を電子保存するには管轄の税務署に申請を行った企業が電子帳簿保存法の対象となります。
2022年1月の改正後はどうなるのでしょうか?
2022年1月の改正後は、電子化された請求書や領収書を受け取った企業すべてが電子帳簿保存法の対象となります。
つまり2022年1月以降、PDFなどで請求書や領収書を受け取る場合、電子保存する仕組みの運用が必須です。
例えば、以下のケースは電子化した請求書や領収書を受け取っているとなります。
- メールでPDFの請求書や領収書を受け取る(メール本文、画像ファイルも同様)
- クラウドサービスなどでPDFの請求書や領収書を受け取る(画面表示、画像ファイルも同様)
- FAXサービス利用で受信した請求書や領収書をPDFで取得している(画像ファイルも同様)
請求書や領収書をメール、クラウドサービスなどで配信する企業が増えていますので、すべての請求書や領収書を紙で入手するのは、難しいのではないでしょうか?
企業規模に限らず多くの企業で、2022年1月から電子帳簿保存法に対応した請求書や領収書の電子保存の仕組みが必要になります。
2022年1月の電子帳簿保存法の施行まで残りわずか。
皆様の会社では、請求書や領収書を電子保存する準備は進んでいますか?
請求書や領収書を電子保存する仕組みには、以下のようなメリットがあります。
- 請求書や領収書を郵送する、紙の請求書や領収書の社内での受け渡しやファイリングなどがなくなり、人の業務効率化につながる
- 請求書や領収書を郵送する、ファイルを保管するコストがなくなり、コスト削減につながる
- 紙や電気などの使用量が減り、資源の有効活用につながり、SDGsへの貢献度も高まる
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請求書や領収書の送る側も受け取る側もメリットの大きい電子保存。
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